解雇は、客観的に合理的な理由と社会的相当性が存在しなければ無効です。ところが、特に小さな組織などでは、密な人間関係のなかでの感情的な軋轢から、法的には正当性が認められない場合でも、「クビだ」と告げられるようなケースもあります。
本ケースのご相談者は、成績や素行が悪いといった抽象的な理由で解雇され、収入が断たれてしまいました。会社に抗議しても取り合ってもらえなかったそうです。
解雇や退職など、労働者としての地位が争点になるケースであっても、交渉や訴訟のほか、労働審判といって、最大でも3回の期日で終わる迅速な手続きを利用することも可能です。
この事案では、ご相談者が早期解決を希望されていたため、解雇が無効であることを前提に、労働者としての地位の確認と、解雇時点以降の賃金を請求する労働審判を裁判所に申立てました。最終的に、ご相談者は会社には戻らないという決断をされましたが、一定の金銭の支払いを得て解決に至りました。
なお、解雇とは異なりますが、雇用主が、労働者に対し、色々な理由をつけて自主退職を迫ることも珍しくありません(退職勧奨)。理由のない退職勧奨に応じる必要はありませんし、いったん退職の意思表示をしてしまうと撤回が難しくなりますから、雇用主から退職を迫られたら、最終回答をする前に弁護士に相談することをお勧めします。